捨てる理由。その3

捨て始めたきっかけは正直よく覚えていませんが、

溜め込んでいた過去も、捨て命!の今も、モチベーションになっているのは

「死」

のような気がします。

極端に怖がりな子供でした。

寝付きが悪く、両親が先に眠りについてしまうと恐ろしくてわざわざ揺すって起こしていました。

少しでも死を連想させるものに対して、いつもビクビクしていました。

きっかけは全くわかりません。

ただ、布団にすっぽりくるまれたり、たくさんの物に囲まれていると安心するし、外からやってくる死の気配から物理的にも精神的にも守られているように感じていました。

物を捨てる事は、自分を死の側へと近づける行為。
捨てたら二度と手に入らない。
捨てる事は、その物を殺してしまう事だ、と。

そうしてたくさんのガラクタで城壁を築き上げていったのです。

翻って、捨て命!の現在。

捨てる理由は色々ありますが、そのうちのひとつにやはり「死」が関係しています。

年齢的に終活を始めるにはまだいささか早すぎるのですが、

この世を去るときは、風呂敷一枚で。

という憧れがあります。

溜め込み道真っ盛りだった高校時代に大地震を経験しました。

壁一面にコレクションしていたある飲料(未成年が飲んじゃ駄目なヤツね)の空き缶が、いとも簡単に崩れ落ち、「あの世には何も持って行けないのだ」と悟りました。

それがきっかけで捨て始めた…訳ではなく、むしろドンドンと物を増やし続けるのですが、価値観の転換期にはなりました。

物に価値を置いていたので、人間性の向上は置き去りにした人生を送ってきましたが、

「持ち物が人生の全てではない」

と何かのきっかけで気づいた時に、本当の捨て生活が始まりました。  

「あの世には何も持って行けない。
だから、欲しい物を手に入れる事に躍起になるより、もっと大事な事をみつけよう。」

物自体に罪はないから、悪者扱いしたら申し訳ないのですが、

マイナスな感情を宿してギチギチに詰め込まれた物を解放したら、自分の凝り固まった心と頭もスッキリするような気がして。

捨てる事に対して、子供時代に抱いていた悲愴な気持ちとか、身を削られるような辛さはほとんどと言って良いほどないです。

とは言っても愛着のある大切な物と向き合わなければならない事もあります。

悩みに悩んだ結果、泣きながら手放した物は、奇跡と呼べるようなカタチで自分の元へ返ってきました。

これについては、また改めて書いてみたいと思いますが、こういう事が時々起こるので、捨て生活はなかなか止められません!